WORK CASE 04

西日本豪雨復興

西日本豪雨復興 西日本豪雨復興

2018年7月、「晴れの国」岡山を襲った西日本豪雨。61人(関連死除く)が亡くなった上、住宅8,000棟以上が全半壊し、家屋の風水害では戦後最悪の大惨事となった。観測史上最大を記録した雨量をはじめ、ライフラインや交通網なども崩壊。特に被害が大きかった倉敷市真備町地区では河川の決壊や土砂崩れが同時多発し、甚大な被害が発生した。
その中でヒラキンの社員として復興に関わった二人の社員にそれぞれの取り組みを振り返ってもらった。

MEMBER

  • 西日本豪雨、
    復興に向けてヒラキンが動く。

    「あの日、私は出張で福島県にいました。最初にニュースで被害状況を見た時、あまりの惨事に正直、実感が湧きませんでした。」と「あの日」を振り返る小室。当時、入社3年目の髙岩も同様な想いを抱いたという。
    大量の災害廃棄物が発生した西日本豪雨。小室と髙岩の二人は、岡山県と愛媛県の家電処理を任命された。なかでも被害が特に甚大だった倉敷市真備町。二人が作業のため本格的に現地入りしたのが災害発生から3週間ほど経った7月後半。現地では浸水が解消した直後から住宅地や道路脇、国道486号線沿い、井原鉄道高架下などに大量の災害廃棄物が積み上げられていった。

    西日本豪雨、復興に向けてヒラキンが動く。
  • 想像を絶する災害現場、困難を極めた作業。

    想像を絶する災害現場、
    困難を極めた作業。

    「被災者からは『とりあえず持って行ってくれ!』と言われましたが、当然ルールがありますから持って帰れる家電とそうでないものを分別する必要がありました。私たちの選別対象は、いわゆる家電4品目(家電リサイクル法の対象4品目、エアコン、テレビ、冷蔵庫(冷凍庫)、洗濯機)でした。」と小室。
    家電リサイクルの知識・ノウハウを熟知する二人とはいえ、現場の状況は通常業務とは違いイレギュラーな事態が頻発、作業は困難を極めた。
    「たとえば冷蔵庫。当然ですが災害ですから中身が入った状態です。夏場の作業のため冷蔵庫中の食品類は腐敗していて、それを除去するだけでも大変な手間を要しました。」と髙岩は振り返る。
    選別、仕分け、洗浄、トラックへ車載、そして工場へ。二人は、一日何百台もの災害家電の置き場だった吉備路クリーンセンター、マービーふれあいセンターからリサイクルプラントへ運び出す作業を約半年間、繰り返した。

  • 現場で生きた
    ヒラキンの対応力・総合力。

    「結果的に岡山県では真備町と矢掛町、愛媛県では宇和島市で作業にあたりました。遠く愛媛県まで行ったのは、地元の企業では手に負えないとのことでヒラキンに声が掛かったからです。今回、各被災地で仕事をしてみて実感したのが『ヒラキンの対応力、そして総合力』でした。」と小室は分析する。
    小室の言葉に髙岩は、「災害現場に人やトラックなどの車輌、機材を自社で送り込むことは、なかなか他社では真似できないことです。当然、家電リサイクルに関する法律の知識も必須です。私たちヒラキンの社員はそうしたスキルを入社以来、体得していますから今回の被災のような急な対応が要求される現場でも即応することができました。私自身、大型免許も持っていたのでトラックに積み込んで、自分で運転して対応しました。それも自社のトラックで。迅速にトータルに対処できるのもヒラキンの強みだと実感しました。」と続けた。
    そんな髙岩がこんなエピソードを話してくれた。それは、小室の「特殊能力」。「小室さんは現場で瞬時に災害家電のメーカーを見分けられるんです。遠くからでも一瞬で見極める。『あれはA社!隣はB社!』みたいな感じで。それはもう特殊能力です。だからどこよりもスピーディーに対応できたんだと思います。」

    現場で生きたヒラキンの対応力・総合力。
    • 自分で考え、自分で動く。4千台の災害家電を処理した二人。
    • 自分で考え、自分で動く。4千台の災害家電を処理した二人。

    自分で考え、自分で動く。
    4千台の災害家電を処理した二人。

    「被災者のためにも一刻も早く片付けてあげたいと思い仕事をしていましたが、逆に被災者の方から『お疲れ様』や『ありがとう』という言葉をもらい、元気づけられたこともありました。」と微笑む二人。
    約半年間にも及んだ今回のミッション。「これほどの長期出張は初めての経験でした。」と二人は口を揃える。片付けも終わり、一区切りがついたところで最終的に二人は4千台もの家電処理をやり遂げた。
    「この仕事のおかげで、人の温かさや仕事の達成感を得られました。そしてヒラキンの事業が『人の役に立てる仕事』ということを改めて実感し、うれしく思いました。」と二人は口を揃える。
    フォーマットがない、ゼロからのスタートだった今回のミッション。あってはならないが、もしもいつか災害が起きた際に、今回蓄積した知識とノウハウをスムーズに活かせるようヒラキン社員全員に伝えること、それが自分たちのミッションだと二人は考えている。
    西日本豪雨では、真備地区を中心に5,970棟以上の住家が大規模な浸水被害を受けたが、この災害で発生した廃棄物は約35万tで、これは倉敷市内で1年間に処理する一般廃棄物の約2倍の量にのぼる。廃棄物の処理にあたっては、自衛隊をはじめ、国、県、全国の自治体、支援団体、企業、ボランティアが動き、2020年5月23日をもって全ての災害廃棄物の処理が完了した。