平林金属株式会社

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創業60年3つの節目

高度経済成長期に生まれ、昭和から平成へ、激動の世を歩み続けて60年。
時代や環境が大きく変化する中で、ヒラキンが総合リサイクル企業として今日を迎えるに至った過程には、
好機をとらえ、臆することなくチャレンジ精神で挑んだ3つの大きな節目があります。

※瀬戸大橋架橋工事では、道路工事が完了した箇所から足場を撤去する作業をヒラキンが請け負いました(写真提供:本州四国連絡高速道路株式会社)

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日本にとって貴重な資源である
鉄のリサイクルを

なぜ戦争が起きるんだろうー。昭和7年生まれの平林久一(平林金属株式会社現会長)は、第二次世界大戦によって日本中の物資が困窮し、国民が耐乏生活を強いられる時勢において答えを探し求めました。そして、日本が第二次世界大戦に突入した理由の一つに、アメリカの経済制裁で石油と鉄屑の輸入を止められたことを知り、「資源のない日本は、鉄屑を止められただけで一大事になるんだ」と、子ども心に焼き付けたといいます。

1956年(昭和31年)、弱冠24歳のとき、久一は「日本にとって鉄がそれほど貴重な資源なら」と起業しました。鉄リサイクルは、平林金属(ヒラキン)の創業の精神であり、原点です。

戦後の復興から高度経済成長期にかけて、日本では鉄道や道路、上下水道などさまざまな社会インフラの整備が進み、公共施設や商業ビルの建設が相次ぎ、自動車や電気機器など暮らしを便利にする“もの”が急激に普及していきました。鉄を中心とした日本のものづくりは、金属やプラスチックの複合素材を用いるようになり、近年はコンピューターの登場によって、ありとあらゆるものに電子機器が組み込まれるという大きな変化を遂げています。

世の中に大量にあふれた“もの”は、作られた分だけ、だれかが片付けなければなりません。また、限りある資源を有効に活用するため、使い捨てにするのではなく、何度も再利用する循環型社会の構築が急務となり、リサイクルが常識の時代になりました。静脈産業として片づける側に位置するヒラキンは、時代の趨勢に応じて仕事の領域を拡充し、鉄はもとより、非鉄、プラスチック、希少金属(貴金属とレアメタル)の資源化に取り組んで、今日の、総合リサイクル企業の姿に至っています。

創業

家電リサイクル

時代を先読み、
生き残りをかけた大きな挑戦

第二の節目は、家電リサイクルへの取り組みです。 端緒は、当時副社長だった平林実(現社長)の、1997年のドイツ視察での気づきにあります。1996年に循環経済に関する法律ができたドイツでは、業界の統廃合が進み、リサイクル業界では一番小さな会社で従業員800人クラス、大きい会社では従業員4000人規模の会社しか存在していませんでした。法律で定められたレベルを達成するには、大きい企業しか生き残れない。ヒラキンクラスの会社が淘汰されていた現実は、やがて日本に訪れるであろう転機を示唆していました。

ヨーロッパの環境に関する法律は、5年遅れで日本に反映されており、5年後の2001年に「○○リサイクル法」が日本にできるとすれば、ヒラキンは存続するのか、淘汰されるのか。今、決断して取り組まないと、生き残れないー。1997年のドイツでそう覚悟を決めたことが、現在のヒラキンの姿を作ったことは間違いありません。

日本に帰国後、一から研究にとりかかり、リサイクルの対象が家電になったことから、専用工場を作りました。それがリサイクルファーム御津です。従来のヒラキンがやってきたものとは全く違う、家電メーカーの目線で「こういうリサイクルをしてほしい」ということが実現できる工場です。

当時、利益が数億円程度の会社(ヒラキン)が、20数億円かけて、だれもやったことがない、本当にそれで仕事が来るのかどうかも分からないものに賭けるわけですから、理解されなくても仕方ありません。でも、今やらなければ、この会社を解散するしかない。ドイツの視察でそう理解した平林実に迷いは全くありませんでした。

2001年3月31日に工場の許認可が下り、4月1日に家電リサイクル法が施行。何とかギリギリ間に合って、翌日から稼働しました。

今や家電リサイクルはヒラキンの重要な柱の一つに成長し、家電大手メーカーと新しいリサイクルの研究開発に取り組むことで、社内に有形無形の財産をもたらす結果となっています。

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えこ便

一般家庭と新たな信頼の資源再生ネットワークづくり

第三の節目は、2015年7月に新規事業「えこ便」をスタートさせたことです。 ヒラキンは静脈産業なので、動脈産業が作りだした範囲の中でしか仕事ができません。完全な受け身です。動脈産業のものづくりは日本国内では飽和状態。少子高齢化が進む日本では今後、人口が減り、鉄の使用量が減り、工場の海外移転が進み、静脈産業に回ってくる絶対量はますます減るでしょう。

では、どうやって仕事量をキープしていくかと考えたとき、一般家庭から排出され、そのまま燃やされたり埋め立て処分されたりしている“もの”の中で、リサイクルのプロである我々から見て「資源化できるもの」がまだまだたくさん存在しているのだから、そこまで領域を広げていこうと。

家庭からの廃棄物は、市町村が一般廃棄物として処理するルールによって処理されてきましたが、「えこ便」は、さらなる資源化を目指して生み出した、全国でも類を見ない、民間企業発の受け皿です。ヒラキンとして、これまでの企業対企業のビジネスとは違うフィールドであり、試行錯誤の部分はありますが、環境省をはじめ、県、市、警察などの関係各所と協議を進めながら、第1号店となる「えこ便西古松局」の開局にこぎつけました。

開局以来、利用者数・回収量ともに当初の予想を大きく上回り、「家の中が片付いてうれしい」「いつでも出せるから助かる」「施設がきれいなので気持ち良く使える」など、毎日、利用者の方から喜びの声を聞かせていただき、大きな手ごたえを感じています。

「えこ便」はもう一つ、大きな使命を担っています。それは違法回収の実態を広く知らせ、正しいリサイクルの理解と推進につなげるための、情報発信基地であるということ。環境省の調査によると、2014年度、家電リサイクル法で定められた4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機)の正規回収率はわずか49.5%。半分以上の家電が不法なルートで回収されている実態が国の調査で明らかになりました。その多くは不適切な処理や処分をされ、海外へ輸出されて、環境汚染の原因になっていることが危惧されています。

「えこ便」はスマートな市民参加型の資源集積施設として、2016年度グッドデザイン賞、環境省「グッドライフアワード」を受賞。事業の認知度が上がっただけでなく、企業イメージの向上や社員の意識改革にもつながりました。
利用者の方から「便利」「助かる」という声に加え、「うちの地域にもえこ便を」と要望も寄せられるなど、さまざまな評価や期待をいただいています。
今後も地方中小企業として地元の皆さんに喜んでいただけるよう、「困ったことを解決する」「かゆいところに手が届く」新たな事業を本業の中で見つけ、イノベーションを起こしていきたいと考えています。

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